昨日、3月9日の夜は、感覚共有アートプログラムを開催した一日でした。
画家のジャネット・ルールさんが来日しているので、ジャネットさんとご参加者との交流タイムとなりました。
感覚共有アートプログラムについては、WEBサイトをご覧ください。
さて、今日はこちらの作品についてのお話しをしたいと思います。
この作品は、ジャネットさんの「春の日にブルーベルを集めて」という作品で
今回のプログラムで取り上げさせていただきました。
ご参加者同士で感じたものを共有しましたが、それぞれの視点が素晴らしく
とても充実した時間となりました。
普段はファシリテーションで忙しく、記録を取らなかったのですが(これからはレコーディングしようかな)、
今回はオンラインで同時通訳をしてくださったTomoyo Patelさんがテキストで記録してくださっていたので、
そちらを皆さんにシェアしたいと思います。
【春の日にブルーベルを集めて】
この絵はとても幸せで平和な絵。これは私に混在する記憶の中の絵なんです。
幼少期に私はよく何度も何度も6歳上の姉とこの森林地帯に来たものです。
母がこのブルーベルの花を抜くときは、
「ニンジンを抜くように気を付けてまっすぐ上に向かってぬくのよ」
「ちゃんと根っこも抜き取ってあげること」
と良く教えてくれました。これは忘れられない思い出なんです。
ブルーベルの森で、ワイルドに咲く花に日の光がさして、まるでパラダイスのようでした。
「人間は自然を大切にしなくちゃいけない、人は自然を簡単に傷つけてしまうから」
そんなことを母から学びました。
森は人間に欠かせないもので酸素を作ってくれてます。
幼少期に人生について自然に学ばせてもらいました。
自然はとっても安全な場所で、都会と違って汚い穢れた場所じゃない。
だから幸せでハッピーなのがこの絵から伝わってくるかと思います。
【ジャネットさんのストーリー】
小さい頃のジャネットさん(左)とお姉さん(右)
私が3歳の時に、描いた絵が父と母をとっても幸せにしたんです。
戦後に多くの試練があり、絵を描き続けることだけは、ずっと変わらず戦後もしていました。
私はイギリス人とドイツ人の子供で、ドイツ人の血が入っていることは誰にも言うなと育てられ、
ドイツ語も話せることは一切人に話せなかったんです。
それは、私と他の子どもとの間に大きな溝をつくり、やがて私は友達もいなくなり、
孤独感を感じるようになりました。
ただ、3歳から続けてきた絵だけは私の心を平和にしてくれ、
何もかもを解決してくれるようなツールでした。
私が大きくなるにつれ、私は学校に行くようになり、
学校ではそれなりに学校生活も普通に送ってはいました。
イギリス人とドイツ人の子供というのは変わりなかったので、
孤独感はあったものの、EUが形成されてからはかなり幸せになりました。
私はアートを通してみんなに孤独感のない平和を与えていけたらなと思っています。
私は「分離」という言葉が好きではなく、境界線を乗り越えるような世界を
アートを通して作っていけたらと思っています。